往復書簡 4
本企画の演出を担当する田中秀彦と企画プロデューサーの百瀬友秀による往復書簡です。


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田中秀彦
コスチュームアーティスト、演出家
百瀬友秀
演出家

 

百瀬様

 「和的」という言葉自体が(まだ主体性の低い状態なのでですが)そこに対しての強い興味があるのです。国民国家主義的固定概念としてのジャポニズムではなく、繰り返す生活の中で身体に記録されていく触感の正体に目を向けたいのです。(そもそも切り離して考えられる事ではありませんが。。。)風土や気候が元に構築された建築様式、装い、食文化などは、身体をデザインするハードとなっていき、その影響が「雰囲気」や「空間言語」に出るのだと思います。芸術的表現のひとつの目的として「見知らぬ者同士での新たなる共通言語の探索」は大きな条件だと思っていますので、坂口安吾作品ですでに共有している情報を、空間演出によって更なる「触感」に昇華させるのが目的となるでしょう。そこに集まった方々とは、「身体的行為によって醸し出される雰囲気」の研究が主になると思います。これは、コスチュームアーティストとしてM.M.S.Tの作品に参加させていただき、百瀬さんと共同作業をした経験が大きな基となっています。参加していただく俳優のみなさんには、個人的な出発点から始まってよいので、「和的と捉えられる雰囲気の再現とその正体の研究」を一緒にしていただきたいと考えています。徹底的なリアリストは、「涙」も機能だと捉えています(笑)。ただし、機能は、時に奇跡を起こすと思っています♪

百瀬さんは、どんな瞬間に、自分が生まれ育った土地独特の雰囲気を体内に感じますか?
陽射しの強くなってきた五月の日に
田中秀彦