肉体と精神

MSPで稽古場となる奈良県天川村のアトリエは故鳥山明先生の漫画に出てくる「精神と時の部屋」のよう。

舞台にしろ映像にしろ、俳優が板に立つ時、観客より伺い知れるのは声と肉体。でも、そこには必ず精神が宿っている。精神は肉体に宿り、声に乗って外界へ響いていく。その時、思考は置き去りになっているだろう。

少し難しいと思うかもしれませんが、俳優の仕事というのは難しいものです。頭で考えながら芝居をしている時ほど上手くいかないことはありません。集中力が高い時ほど不思議と何も考えてないような気がする… しかしそれを実現するのはやはりとても難しい。

方法は色々ありますが、反復と反芻が大事な要素の一つです。つまり繰り返し計算ドリルのような宿題かのごとく面倒なことをやらなければ染み込んでいかない…嫌ですね… しかし、染み込んでしまえば自由を獲得出来るものです。台詞、動き、肉体、会話、瞬発力…俳優としてやらなければいけないことはたくさんあります。

課題山積みな俳優という仕事…

好きですかね？どうやら萬浪は相当好きらしいです。板に立つこと、自由になること、創り上げること、芝居を根っこから好きになった時、俳優という仕事が崇高なものだと理解出来るかもしれません。

ギリシャ悲劇の一つ「アンティゴネー」 アンティゴネーたちの精神、悲劇の闇にどれだけの光を注ぐことができるのだろう。舞台として作り上げた時、俳優と観客たちは何を感じるのだろう。不確かな何かを追求する修行の地、天川村のアトリエでお待ちしています。

担当講師　萬浪 大輔