参加俳優募集
M.S.P 2023
2023.8.15 tue ~
2023.8.21 mon
in 天川村
2023.8.15 tue ~
2023.8.21 mon
in 天川村
大自然の中にある築150年の古民家を改装した滞在型アトリエ施設にて参加者と共に作品を創作していきます。
NEWS
M.S.Pとは
M.S.P(M.M.S.T SUMMER PROGRAM)は、第一線で勢力的に活躍されている様々な作り手をアトリエに招聘し、実際に作品を創作して頂きながら、施設の魅力とその可能性を発見をしていく、創作ワークショッププログラムです。2008年より毎夏実施しており、これまで下記の作家がアトリエに滞在。魅力的な作品を生み出してきました。
2008 大久保吉倫明 (俳優練塾/京都)
2009 田中 秀彦 (iroNic ediHt DESIGN ORCHESTRA/大阪)
2010 山田 恵理香 (空間再生事業 劇団GIGA/福岡)
2011 中屋敷 法仁 (柿喰う客/東京)
2012 黒澤 世莉 (時間堂/東京)
2013 百瀬 友秀 (M.M.S.T/福岡)
2014 金 世一 (世 ami/韓国)
2015 広田 淳一 (アマヤドリ/東京)
2016 加藤 里志 (サクソフォン奏者・音楽家/東京)
2017 田辺 剛(下鴨車窓/京都)
2018 鈴木 アツト(劇団印象/東京)
2019 山口 茜(サファリ・P/京都)
2021 石田 聖也(演劇ユニットそめごころ/福岡)
2022 コロ(COROBUCHICA./東京)
INFORMATION
<創作作品>
『the Proposal』
アントン・テェーホフ(1860-1904)
ロシアの作家。南ロシアのタガンローグ生まれ。モスクワ大学医学部入学と同時に新聞・雑誌への執筆を始め、生涯に600編にのぼる作品を残した。ロシア文学伝統の長編と決別し、すぐれた短編に新境地を開いた。晩年には戯曲に力を注ぎ、『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』の4作品は世界的な名作との呼び声が高い。
<担当講師>
YANG Hyoyun/양효윤
慶星大学 演劇映画学科卒業/舞踏学科卒業。2009 カマゴル若い演出家展 身体劇「椅子」 2010 ダンス2010-17 人の若い作家展 招待「流浪の歌」 アジムスオペラ団 創作オペラ「白山 アン・フイジェ」 2014 ソウル演劇祭招待/ 釜山演劇祭開幕招請「霣、樂 - 운, 악」 (第31 回全国演劇祭大統領賞/ 第31 回釜山演劇祭 最優秀作品賞 受賞),
2015 東アジア演劇交流展 HANARO Project vol. 2「ドラマ」釜山/福岡
2019 隱形城市三城記 Invisible Cities A Tale of Three Cities 台湾国立演劇実験劇場
2020 Pre Global Woman Perfoming Art Festival 2020 「ドラマ」
2021 韓国新人劇作家シリーズ VOL.6 IN TOKYO 「トーチ」
M.M.S.T ART Lab / アトリエ
M.M.S.Tが創作の為に所有するアトリエ施設です。
奈良県の天川村にある築150年の古民家を、「芸術家が集中して創作する為の空間」
というコンセプトに沿って手を加えた特殊な空間です。
奈良県天川村
アトリエのある天川村は、“「天の国」「木の国」「川の国」”のキャッチフレーズをもつ、奈良県吉野郡に位置する村で、
修験の山「大峯山」と、「天河大弁財天社」が有名です。
集団における定点を求めて
2007年に天川村にアトリエを構えて以来、毎夏この創作WSを開催し今回で15回目を迎えます。当初はアトリエの有効利用と、この環境を多くの演劇人に体験して貰いたい、という思いで始めた企画でしたが、一方で他の演劇人がどのように創作しているのかを私自身が体感したいという思いもありました。これまで14名の演出家が滞在し、多くの作品が作られてきましたが、その創作方法は様々であり、同じ空間ではありますが空間の質と流れた時間感覚は一つ一つ異なっていたように思います。15年に渡りその変遷を横から見ていた者として、改めてこの企画の意味を考えてみようと思います。この創作WSの特色は、参加俳優と演出家がアトリエ施設に滞在し、寝食を共にしながら作品を創作していく、というところにあります。当然、食事も自分たちで作りますので、生活も含めて「創作」ということになります。言い換えれば「創作」ということを価値の中心に据えた小さな社会を作るということです。また、本企画の最終日には観客を招いての上演実習を行いますが、これはWSの成果発表ではなく、限られた期間の中で作られた集団的な価値観を、他者(観客)との接触の中で提示し、時には説得していくという試みになります。ですので、単に演出家の方法論を学ぶことや、参加者のスキル向上だけを目的としているのではありません。ある価値観を基に強固なコミュニティを形成していくことが「集団創作」である、という意味での創作WSになります。ですので、この期間に練り上げられた「集団の質」が「作品の質」という形で現れてくることになるのです。
具体的に振り返ってみたいと思います。このWSは参加者が共同生活を行う合宿形式になりますので、基本的に一人になれる場所はありません(トイレとお風呂は一人です)。毎年「自分は一人になる時間がないとダメだ」と言う参加者が出てきますし、言葉にしないまでもそう思って参加する人も少なくないと思いますが、実際のところプログラムが始まってしまえばそんなことを気にしている暇はありません。そもそも現実空間では他の参加者も生きていますので、都合よく他者を消して自分の世界という訳にはいきません。異なる考えを持った参加者たちの中で、自分がどう振る舞うのか、そして自身の発言や行動が集団にどのような影響を及ぼすかを想像することが必要になります。それは社会の中で自己を規定していくということに他なりませんので、集団創作としての演劇を考える上で重要な部分です。ですので、この様な集団的な関係性から一歩引いたパーソナルな場所で考える個別の自己を「本当の自分」と認識し、そこでの思考から考え始めてしまう、もしくは外部との接触を避け、内部で自己完結してしまうという現代的な構えでは成立しなくなってしまうのです。天川村のように物理的に他者を意識せざるを得ない環境下においても、そのようなパーソナルなスタンスをとる参加者が少なくありませんが、そうした場合は当然のことながら集団としての合意形成や価値観の共有が曖昧になりますので、不安定な社会(=作品)が作られることになります。自己の外側に存在する現実との関係性の中で、自身の立ち位置を規定し、そこから現実に対してどの様な手段で能動的に接触していくのかを試行錯誤する、そしてそれを集団の「価値感」として昇華させていくという一連の行為の中に演劇があり、それが創作の本質なのだというのが、これまでの変遷の中で辿り着いた私の実感になります。このWSは「個」の肥大化により、自己を優先することが当然とされるような「現代」を生きることに言いしれぬ違和感を感じている方、そして「集団創作」という言葉に何かしらの可能性を感じている方には、意味のある機会になるのではないかと思います。是非、天川村にお越しください。
M.S.Pプロデューサー 百瀬 友秀